限界を超えて頑張っていれば、今寝る時間を削って無理をすれば「いつか」は良くなるはず。遠い未来には時間的余裕もあって、好きな事も好きなだけきっとできる。
そんな風に思ってがむしゃらに頑張る。
なのに将来に対する漠然とした不安はなくならない。なくならいどころか日増しに増加していく。ついには働いても働いても、底なし沼にハマってしまったのかのように人生に対して不安になる事ってありませんか?
私は月に一度はそのような心境になり、不安に耐えてきました。生きてる限りは仕方ない発作のような物として付き合ってきましたが、ある著書で見つけたたった2つの心がけを行うようになってだいぶ改善できました。
以前より明らかに発作に対してラクにすごせるようになったんです。
そのふたつの事とは、
- 時間をコントロールしようとしない
- 「何もかもはできない」と認めること
これまでタイムマネジメントに関する著書を多数読みましたが、ほとんどが分単位にスケジュールを区切るのが効率的などの24時間をいかにうまく使うかという発想のものばかりでした。
ですが、現在全米でベストセラーの『限りある時間の使い方』オリバー・バークマン著(かんき出版)は時間という概念に対してまったく逆のアプローチをしていました。
時間に追われる感覚を減らすだけでストレス事態もかなり減ります。
➀時間をコントロールしようとしない
まず➀について解説します。
時間をうまく使える人イコール仕事のできる人という図式が私達には刷り込まれています。
時間をうまく使って効率化するわけですから一理あると思います。
ですが、こういう時間の捉え方をしている限り「何か足りない」「何か不安である」「もっとやらなくては」と永遠に終わりがないんです。
効率化した先にゴールがきちんと待ってくれていればいいです。ですがそのゴールは保証されていません。
私の場合を例に出すと、フリーライターとして色々な出版社で契約して働いてきましたが「使い勝手のいいどちらかと言うと優秀なライター」という評価がほとんどでした。工夫してタイムマネジメントしてできるだけ多くの仕事に携わり得た評価です。優秀だという評価を得てさえいれば未来の生活は明るく約束されていると信じていましたし、お金の不安も生活の不安もなくなると思っていたんです。でも、そうじゃない。私の働き方は変わらずとも時代の情勢や出版社の経営状況で、給料はガラリと変わってしまいます。
お金をたくさん稼ぐ人、稼げない人に関わらず時間をコントーロールしようとしている人は焦りや不安から解放される事はないんです。もっと言えば時間を効率化しようとしている人ほどやるべきタスクは増加していきます。
あるビジネス書ではやることを積み残すな、返信できるメールはすべて即座に返信して手元をすっきりすべきと書いてあったりもしますが、返信すればまた返信が来てやることが増え続けるだけなんです。仕事だから仕方ない、と私も思っていました。ですが、時間を管理して仕事に没頭し続けても未来や結果は約束されていません。
現実には好きな料理を食べ続けて「今」をとことん楽しんだ結果SNSで大きな富を築く人もいます。つまり、いくら時間をうまく使おうと効率化に終わりはこないし結果が伴うとは限らない。それどころか人生にますます不安を募らせてしまうという悪循環に繋がってしまうんです。
②「何もかもはできない」と認めること
次は2についてです。
「何もかもはできないと認めること」ですが、多くの方がニュアンスでわかってはいても実感が伴ってないのではないでしょうか?
本書では人の平均寿命を80歳としてそれを週に換算していますがたったの4000週です。私達には平均で4000週しか与えられていないわけですから、その中で仕事、恋愛、勉強、子育て、趣味、休暇、旅行と時間を使っていくわけです。
やりたい事だけでも時間が足りないし、すべてを完璧にこなす能力が私に備わっているとは思えない。不可能を可能にするために時間を費やすのではなく自分の限界を意識し、その中で最善を尽くす方が人生を充実させてくれると説いてます。
これは何もネガテイブな話ではなく、無理に生産性を高めようとすることがかえって事態を悪化させていると教えてくれているんです。
《この欠点だらけで、傷つきやすくて、ものすごく短くて、思い通りにならない人生が、ただ一度きりのチャンスだということーー、その事実を、僕達は認めたくないのだ》と本書にありますが、まず時間的にも体力的、能力的にも何もかもできるわけではない、と認めるところから始めます。
例えば私が大谷翔平選手のように二刀流の一流野球選手になりたい、と頑張ってもそれこそ4000週が8000週に増えてもなれないでしょう。
この2点を意識しだすと、24時間をうまく使ってより効率よくこなす、という発想から残っている時間をどう使うかという発想に変わったと思います。やりたい事は限りなくある、そして時間は限られている。有意義に過ごすにはどうするか?という発想です。
これは時間の管理と似ているようで大きく異なります。時間を効率よく使えば全部をやれると思っていた頃にはできない考え方でした。
つまり、時間を効率よく使ってやれる事を増やす=思い描いた約束された未来という図式を一度壊す作業でもあります。
思い描いた未来に直結してない意識下でやりたい事というのは本当にやりたい事でしょう。
私の場合、好きな人たちとすごす時間、読書する時間、仮想通貨を勉強する時間、本当にやりたい事だけでもこんなにあります。そして生活するために仕事に割く時間もあります。
現実をありのまま受け入れる事で不安も減り目の前もクリアになっていきます。結果的にですが〝やりたい事〟そのものがクリアになるので、人生は豊かに幸せに過ごせるようになるのではという事です。
最後に著書に書かれている「有限性を受け入れるための10のツール」の中から特に仕事や人生に応用できそうなツールを紹介します
有限性を受け入れるための10のツール
仕事編
「開放」と「固定」のリストをつくる
これはすべての仕事を完璧に成し遂げるのは不可能、何かを捨てることは避けられないという前提にたち、うまく選択するための手法になります。
- やることリストを「開放」と「固定」の2種類に分ける
- 開放リストには抱えているタスクを自由にすべてリストする。すべてに取り組むわけじゃないから膨大になってもOK
- 作った開放リストから固定リストにタスクの一部を移す。固定リストの方は「最大10個」のように上限を決めておく。
- 固定タスクの中のひとつのタスクが終わるまでは別のタスクを追加しない
- こうすることによって固定タスクのタスクだけに集中でき、結果的に優先順位も整理され重要なことを多く達成できる
人生編
何もしない練習をする
自分の4000週間を有意義に過ごすためには何もしない練習が必要だという。「何もしない」練習というのは「周囲の人や出来事に干渉したい」という欲求を抑えるために行う
- タイマーをセットして椅子に座る。最初は5分か10分から始める
- その状態で何もしないようにする。考え事も呼吸に集中したりもしない。何かしているなと感じたら落ち着いてそれをやめる。そうやってタイマーがなるまでただ座っている
何もしないことができる人は自分の時間を自分のために使える人だと言います。
心を落ち着かせ、限られた人生をじっくり味わいより豊かにすごすための訓練となるそうなので気になる方はぜひ試してみてほしいです。
私自身、ここ最近人生に結果が伴わず思い悩んでいたのですが本書に出会って少しずつ時間に関する感覚が変わり始めています。時間を切り詰め無理をし続ける限り、焦りと不安から解放されないなら一度、時間に追われる生活を改善してみる事にしました。今、色々な不安や焦り、そういったものに取り囲まれている方にはぜひ一度読んでみてほしい一冊です。
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