あなたの周りにも一人か二人はいないだろうか?
まったくもって理解不能な原動力で動く人間が。
言わば、人間の歪みみたいな物を感じさせるタイプの精神構造の持ち主が。俺の周囲にもいる。
そいつの場合はこうだ。
共通の友人Aに対して俺が「あいつは終わったな」と言っていたと告げる。それもAの会社が傾きつつある冗談の通じないタイミングを見計らってだ。
また、こんな時もあった。
色々とフリーランスで仕事をしている俺のギャラが下がったり、仕事が減ったタイミングで「仕事ができないフリーランスほど悲惨なものはない」とAがうそぶいていたと俺に告げた事もある。
そいつ自身の本性がめくれるまではAとも喧嘩沙汰になった事もある。幸いAとは腹を割って話ができる間柄なので今はもう踊らされないが。
なぜ、こんな無意味な事をするのか……、おそらく俺らがいがみ合い、取っ組み合い、喧嘩をするのがたまらなく楽しいのだろう。
50万部突破の『代償』を読んでいたらそいつを思い出した。ここ最近、大ヒットミステリーを書き続ける伊岡瞬氏の作品だ。
1960年東京都武蔵野市生。広告会社勤務。『いつか、虹の向こうへ』で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞しデビュー。
伊岡瞬氏の作品だが、個人的には読みやすい文体と筆致ながら、一度読み始めるとその中毒性の虜になり寝不足必死である。
目をこすりながら連日読んでしまい仕事にも支障が出ていたくらい。
何がそんなに心を掴んで離さないのか……、ひとえに伊岡瞬氏の描く“人間”という生き物がとにかく魅力的だからだろう。
例えば悪役、例えば刑事役、例えば癖のある美人、など、ほとんど誇張のない描写にも関わらず、リアルな表情まで頭の中に描かれてしまうほど魅力的なのだから。今回はそんな伊岡瞬氏の作品でオススメの3冊をランキング形式で紹介したいと思う。
ーあらすじー
小学校時代からワルだった達也は残忍なモンスターなのだが、類まれなる頭の良さを活かし狡猾に周囲を欺いていた。母親同士が遠縁だった事から同じ歳の圭輔の家庭に達也は頻繁に出入りするようになる。この時、後に弁護士になる圭輔の家庭は、もう絵に書いたような幸せな家庭だった。しかし、突然の火事で両親を失ってしまった圭輔は達也の母親にひきとられる事になる。そこからの生活は筆舌に尽くしがたい生活を送るのだが。その後、中学校の卒業を前に達也の家を出た圭輔は、紆余曲折を経て弁護士となる。そんな圭輔の元に再び現れた達也。強盗致死事件の被疑者として圭輔を名指しで依頼してきたのである。少年時代の一部、弁護士時代の二部という形だが最後まで、目の離せない展開のミステリーだ。
50万部以上を売上げ、一時期はどこの本屋でも平積みされていた。主人公VS悪役の構図もわかりやすく圧倒的にその人間たちの造形力に引き込まれる。Huluで小栗旬主演でドラマ化されているのでそちらも肌が粟立つミステリードラマとしてオススメ。
サイコパスのような悪人役の高橋努氏の怪演に注目!
第2位 2020年徳間文庫大賞「痣」
ーあらすじー
主人公の真壁修刑事が辞職する2週間前、奥多摩分署管内で全裸美女冷凍殺人事件が起きる。妻を殺害された過去を持つ真壁修刑事は否が応でも事件に引きずりこまれていく。何せ全裸美女冷凍殺人事件が発生してから、妻の殺人事件を彷彿とさせる事に次々と見舞われるのだ。被害者の左胸に残されていた柳の葉のような印は、亡くなった妻の持つ〝痣〟と似ている……。しかし、妻の殺人事件の被疑者は死亡したはずだ。亡き妻に静かに語りかけながら、事件と妻の軌跡を辿る真壁修刑事。過去と現在の事件が絡み合いながらスピード感ある展開に読む手を止められなくなる。
全国の目利き書店が「今もっとも売りたい徳間文庫の一冊」で選ばれた納得の大賞である。とにかく色々と仕掛けがある。
それからハードボイルドなカッコ良さを漂わせる真壁修刑事の魅力がたまらない。ちなみに『悪寒』にも真壁修刑事は登場している。容疑者を追う刑事というわかりやすい構図も◎。ストレートに面白かったという意味では『痣』が1番面白かったかもしれない。
第1位 単行本の傑作「不審者」
ーあらすじー
折尾里佳子は夫・秀嗣、息子・洸汰、義母・治子とともに秀嗣の実家に暮らしている。似たような家族構成の似たような方の多くが抱えるであろう悩みはあるものの、それなりな生活を送っている。ある日、招待客があると20年以上行方不明だった兄を連れて秀嗣が帰宅した。独身で起業家だという兄は、じょじょに家族との距離を縮め、ついには居候を始めてしまう。それを境に里佳子にとって不可解なことばかりが起こるようになる。兄に対して不信感を募らせていく里佳子と、里佳子によく思われていない事を知りつつ、居候を続ける兄。この構図で物語は進んでいくが、色々な過去を紐解く事や、違和感を持つように差し込まれてくる一文、途中から何となくひっくり返されていく事はわかるものの、もうそこで読むのをやめるという事はできないどころか早く結末を見たい一心で読み進めてしまう一冊。
冒頭から主人公・折尾里佳子の芯となるべき場面から物語は始まる。読む人によってはラストがないわ、リアリティがない、という方もいるが俺はそうは思わない。逆にしっくりくるくらいだった。過去から現在、そして物語の見方そのものも綺麗な形でひっくり返して着地させる手腕は見事としか言いようがない。
人の顔は角度によって怒ったようにも、泣いてるようにも見えるというが、本書はそんな多角的な楽しみ方ができる。これまでの伊岡瞬節を活かしつつ、また新たな境地を開拓している。そういう意味で伊岡瞬氏のオススメ1位とさせていただいた。
いかがでしたか?
今回は、伊岡瞬氏の大ファンである筆者のおすすめをまとめてみました!
今後も作品楽しみにしています!(大ファンより)
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